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ノェネチア玀行 2015

 空枯を出おバス停たで歩いおいた。もう日は萜ち、倜の垳に包たれた街は本圓に目的地むタリアなのか寝惚けた頭では感埗の䜙地はなかった。翌朝になっお電車で二぀目のサンタ・ルチヌア駅を降りた瞬間に、やっずたざたざず実感せざるを埗なかった。駅舎を足早に飛び出し、燊々に降りしきる陜光に刺し圓たり立ち止たる。いたたで写真や映画の䞭でしか芋たこずの無かった景色が抱えきれない皋に双眞に炳ずしお飛び蟌んでくる。目に映る颚景を䞊䞋に割るように流れる川は檞檬色の光を圌方歀方に穏やかに反射させおいる。

ショヌケヌスに䞊ぶガラス现工を思い浮かべた。そういえばこの街はガラス现工で有名なノェネチアだ。ノェネチアグラスず呌ばれるガラス工芞品ははっきりずした鮮やかな色䜿いず、人の暖かさを宿すヌクモリティヌに溢れる䜜品は、珟地の人から旅人のお土産ずしおも倧人気だ。そんなノェネチアグラスを扱ったお店も街䞭にちらほら点圚し、芋぀ける床に芖線を奪われる。だが土産物ずしお忘れちゃいけないものがもう䞀぀ある、マスクだ。䞭䞖の怪しげな貎族が躍り狂うマスカレヌドなどでよく䜿われおいるのをむメヌゞする。デザむンはノェネチアに流れる支流の数より倚く、倀段の幅はカナル・グランデより広い。ここで川に぀いお話しおおくず、ノェネチアには倧きなS字型のカナル・グランデずいう川があり、そこから掟生しお街䞭に蜘蛛の巣ように小川が匵り巡っおいるのだ。どの小川も恐ろしい皋のシャッタヌチャンスに溢れ、い぀のたにか同じような川の写真でカメラロヌルがぎゅうぎゅう詰めの始末である。そんな写真の数をも凌ぐほどあるのがマスクである。自分にあったマスクを探すのにも䞀苊劎で難儀である。だがそんな逡巡の靄に芆われた心䞭に扇を持っお吹き消さんずするマスク屋が珟れた。ショヌケヌスにずらりず䞊んだマスクは、いたたでに芋おきたマスカレヌド甚の圩色鮮やかな西掋の仮面ずは趣きが違った。マスクの基本の圢はしおいるが、色は党おが艶やかな黒䞀色で衚面䞊に所狭しず機械的な装食が斜されおいる。「スチヌムパンク マスク」ず画像怜玢しおでおくるむメヌゞのたんた。パヌツの䞀぀䞀぀はペットボトルのキャップやネゞ、歯車など様々な日垞生掻でよく芋る郚品が䜿われおいたのだ。お店の人に聞くず、リサむクルしお䜜ったそうだ。たあそうだろうな。黒光りするマシヌンを搭茉したマスクはずおもカックむむので、€120するや぀を買った。 お土産も買い、沢山写真も撮った。異囜の文化を倧きく深呌吞するように身䜓䞭で吞収しおきたノェネチアの旅ももう千秋楜。䌝わらない日本刀を拙いナむフに持ち替え、果敢に異人に斬りかかっお行くドキュメンタリヌ映画の䞻人公気分。原案、監督、配絊も兌任、赀字に他ならなず。 クランクむンのサンタ・ルチヌア駅のシヌンでは、はやる気持ちを抑えきれずシナリオを吹っ飛ばしおしたいそうであったが、いざクランクアップの堎面で芋玍めの倕日に照らされお、どうにかなっお、どうにでもなっおしたいたい思いに駆られる。シ゚スタの陜光でボむルされたカナル・グランデにでも飛び蟌んでやろうか。お排萜なアナザヌスカむ宛らのトリップムヌビヌが、バシャンずコメディに早倉わり。それもいい。

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