top of page

治験について / About clinical trial

 治験とは、医薬品もしくは医療機器の製造販売に関して、医薬品医療機器等法上の承認を得るために行われる臨床試験のことである。(wikiより)


 私が初めて治験に参加したのは当時20歳で、治験は20歳から参加が可能になる、主に有償のボランティアである。新薬が誕生するまでの流れをざっと説明すると、まず数多くの物質の中から薬の候補を見つける「基礎研究」に2~3年。色々な動物で有効性と安全性を確認する「非臨床試験」に3~5年。そして人で有効性や安全性を確認するいわゆる「治験」に3~7年、また治験の中にも3つの段階があり、少数の健康な人に対して薬の候補の量を徐々に増やしていき、安全かどうか、また薬の候補がどのくらい体内に吸収され、どのくらいの時間でどのように体外へ排出されるのかを調べる「第Ⅰ相試験(臨床薬理試験)」に始まり、少数の患者に対して本当に病気を治す効果があるのか、副作用はどの程度か、また容量用法を調べる「第Ⅱ相試験(探索的試験)」、そして多数の患者に対して、新薬としての有効性があるのかどうかを見極める最終的な試験「第Ⅲ相試験(検証的試験)」へと進んでいきます。この治験第Ⅲフェーズの検証的試験をクリアすると、厚生労働省が薬として使用できるのかを厳しく2~3年ほど審査し、ここで合格すると晴れてめでたく薬として認められます。

 ということは新薬の誕生には長くて約18年かかるのです!また薬として販売された後も、「製造販売後調査」として安全性と有効性がチェックされています。そして、日本で広く募集され実際に病院にて行われている治験の殆どは、ジェネリックの第Ⅰ相試験です。


 そんな治験に私は被験者として現在まで約3年で、計7回の案件に参加してきました。治験には研究的な側面があり綿密な計画に基づいて実施されるため、健康体であることが望ましく、体内での薬の混同を絶対に避けるため治験薬の服用から休薬期間として4ヶ月が経過しないと新たに治験に参加することができないのです。もし、この制約がなく案件が終了してまたすぐ新たに案件が受けられるとしたら、治験被験者が職業としてまかり通っていることでしょう。冒頭で「有償のボランティア」と述べた通り、治験を受けると治験に参加して頂いた時間を補填するという形でお金が製薬会社から貰えるのです。時給というか相場は大体決まっていて、通院1回で1万円、入院1日で2万円です。バイトの最低賃金とかに比べたらかなりうまいです。なので、参加希望者は以外と沢山います。一つの案件に対して定員以上の参加希望者が集まるので、スクリーニング検査(身長体重測定、内科的診察、心電図、血液・尿検査、梅毒血清検査、肝炎ウイルス関連検査、エイズウイルス検査など)を行い、それぞれの案件によった的確な被験者の選別をしています。このスクリーニング検査時に医学的な異常が発見された場合には、医師から適切な助言が言い渡されます。なので、宛ら無料で受けられる健康診断のようにも機能しています。そしてスクリーニング検査をパスできると、通院か入院をして被験者として参加することになります。この時予備被験者というのが実際に治験薬を投与される予定の人数が例えば20人というのに対して4人ほど選ばれます。本治験参加予定の20人にもし治験薬投与直前までになんらかの問題で参加ができなくなった場合に備え、4人の予備被験者は本治験参加予定の20人と共に1泊入院し、投薬の直前までに当該の案件の条件にマッチする順に24人から20人再選抜されます。予備被験者から繰り上がって治験参加する場合もあれば、治験薬を投薬されることなく1泊して帰る場合もあります。この治験薬の投薬なく1泊して帰るケースは2万円貰えて、また新たにすぐ治験参加することができるのでちょっと面倒くさいですがちょっとお得だったりします。


 やっとのことで治験に参加、入院することになったら後は決まった時間にくる採血や血圧測定、心電図、院長による触診など以外は自由時間です。マンガやテレビは大体どこの病院でも常備されているし、たまにゲーム機(Wii、プレ3等、ボードゲームも)の貸出がある病院もあります。常識の範囲内での暇を潰せる物の持ち込みは許されているので、ノートPCやタブレットなどを大体の人が持ってきます。以前、ギターを背負ってきた人がいて、その人は本治験参加予定者でしたが予備被験者とバトンタッチを余儀なくされていました。周りに明らかに迷惑をかけそうだと判断されると、ボディ的に合格でもTPO的に落とされる場合もあるのかなと思います。


 治験は全く知らない人とひとつ屋根の下の共同生活なのでそれが苦手な人にはキツイかもしれません。割り当てられる個人スペースは病院ベットとそれを1周り囲うカーテン内のおよそ、3畳くらいのスペースしかありません。それ以外のすべてが共有スペースなので、思いやりと気遣いが必要になってきます。大きな相部屋でみんな一緒に規則正しい生活をします。決まった時間にご飯を食べて、決まった就寝時間に寝て起床時間に起きます。ご飯は病院食というか病院ごとに様々で、業者のお弁当だったり病院に調理室が設けられていて手作り作りたての料理だったり、隣のコンビニの弁当だったりします。出された料理や弁当は基本完食することがルールで、残さず食べていのるか寮長のように観察する看護師がいる所もあれば、放任主義の所もあります。


 他の被験者と話して仲良くなったことは7回中1回しかありません。ゲーム機の貸出をしている病院で、食後にぼーっとテレビを見ていたら「一緒にジェンガしませんか?」と声をかけられて応じた時くらいで、その後Wiiのマリパなんか適当にやっていると2人じゃ人数が乏しいので、近くにいた仲間になりたそうにこちらを見ている被験者に声をかけて3人グループができました。ラインを交換して次の治験情報について語り合う治験仲間にもなりました。こんな例は1度だけで、1周間2週間ずっと一緒にいてもほとんど何も話さないで終わるのがベターな治験隣人との付き合い方です。友達と一緒に参加できれば、心細くなく退屈せずに済むと思います。


 治験薬の副作用についてですが、1回復部に太い注射をして服用するタイプの治験薬で気持ち悪くなって嘔吐したことがあります。被験者には番号が割り振られていて、若い番号順に1分間隔を空けて投与されていきます。投与日にはたまにスーツを着た製薬会社の人が遠巻きに観察しにくることもあって、そのときは自分が研究モルモットになったような気分です。嘔吐した時の案件では、先に投薬された人から1分間隔で徐々に体調を崩していくので少し恐ろしいながらもなんだか滑稽で愉快でもありました。こういった体調を著しく害する副作用がでることは珍しい方ですが、全員に悪影響がでていたのでかなり効能の強い治験薬であったのだと思います。左隣にいた人は4回吐いていたのを覚えています。


 こういったキツイ経験もありますが、時間に余裕があればこれからも続けていきたいと考えています。お金を稼げると同時にボランティアでもあるという一見矛盾しているように見えて実はそれらが両立している珍しいもので、実際治験がなければこの世に薬は存在しませんので、人が健康で長生きしていくことにおいてとても重要なことでもあるのです。


 あと余談として、海外に行って入院する長期型の治験もごくたまに募集があります。前に見たのは「イギリス 6ヶ月」というのがあり、渡航費用や向こうでのホテルの宿泊費用は向こうもちです。半年間と行ってもその間ずっと入院している訳ではなく、半年滞在している間に何回か入院と通院があるみたいで、それ以外は自由時間なので観光したりホテルに閉じこもったりできるみたいです。報酬は60万円ほどを終了後に振込か受け渡しでしたので、食費や雑費の為に事前に用意が必要ですね。海外の病院に入院となると不安も大きいですが、医師や看護師が治験用に日本人である場合もあるそうです。これは行ってみないとわからないですが、治験がはじめての人はまず1回日本でやってみるのをおすすめします。


 治験を探すときは「生活向上web」をまず見てそれで自分に合うのがなかったら、都内が大丈夫な人は医療法人相生会の墨田病院直のページで探すのがいいと思います。治験情報サイトの中には月会費を請求する所もありますが、そういうのは詐欺に近いというか無料で案件を探し受けられるのが普通なので、上述したところで探すようにしましょう。

bottom of page